ホームページと法務の関係

自社のパッケージ製品に、オプションとしてリーガルチェックサービスを付けること、次週のセミナーで個人情報保護について触れなければいけないこともあり、ホームページと法務の関係について考えてみました。

プライバシーポリシーとは

プライバシーポリシー とは、 ホームページ上で収集した個人情報の取り扱い方や利用の仕方などを、そのサイトの管理者が定めたルールのことを言い、個人情報保護方針とも言います。(参考:弊社のプライバシーポリシー)2003年に「個人情報の保護に関する法律」が制定され、企業としても無視できない流れになっています。

個人情報とは

では、個人情報とは何か。「氏名」「性別」「生年月日」「住所」「住民票コード」「携帯電話の番号」「勤務場所」「職業」「年収」「家族構成」「写真」「指紋などの生体情報」「コンピュータのIPアドレス・リモートホスト」 などを言い、氏名と紐つけられて始めて個人情報に該当します。この中のコンピュータのIPアドレス・リモートホストとは何か。「61.11.199.210」「d61-11-199-210.cna.ne.jp」のような数字やアルファベットの羅列を、インターネットの掲示板で見たことはありませんか。これを見ると、利用しているプロバイダーが分かります。しかしこの段階では利用者名と紐付けられていないため、個人情報には該当しません。では何故表示させているかというと、もしそのユーザーが犯罪目的の利用や他者の権利を犯した場合、運営者が警察やプロバイダに通報することにより個人が特定できるようになるのです。要するに不正利用を防止するための脅しみたいなものです。

プライバシー情報とは

個人情報と近い概念にプライバシー情報があります。プライバシー情報には、「ホームページの閲覧履歴」「利用したサービス」「検索キーワード」「送受信したメール」「利用した時間帯」「携帯端末の個体情報」「購入履歴」「利用環境」「性別」「郵便番号」「職業」「年齢」「身長」「体重」などが当たります。ユーザーの閲覧履歴を元にした広告の表示や、検索履歴を元にした予測変換などでは、プライバシー情報が使われているということになります。逆に、アクセス解析をしている方であればピンと来ると思いますが、ユーザーの利用時間帯や利用環境などは簡単に知ることが出来ます。アクセス解析は、今後のアクセスアップを考える上では非常に重要なことなのですが、プライバシー情報と氏名を一緒に管理するのは、万が一の場合危険です。通帳と印鑑を一緒に置いているのと同じです。くれぐれも気をつけましょう。

中小企業のコンプライアンスについて

あと考えなければいけないのが、法令遵守(コンプライアンス)の点です。通信販売をする場合であれば、まずその商品は販売してもいいものかという事。例えば医薬品は薬事法上販売できません。また健康器具や健康食品、化粧品の販売サイトで「広告文責」という表現を見た事はないでしょうか。これは、その文章に誰が責任を持つかを明記しています。大手ショッピングモールでは、この記述が無ければ、店のオープンが出来ません。一般のサイトで問題になるのは、商標の問題や他者の権利を犯した記述です。地元で普通に売っていたのに、ホームページに載せた途端、商品名のクレームがつく事はよくあります。インターネットは、世界中の人が見られるのですから、リスクが高まるのは当たり前です。法律だルールだと、本当に商売がしづらい時代になってきました。

便利さと引換に

AMAZON楽天が、自分や他のユーザーの過去の購買履歴から別の商品を提案してくること、Googleの検索窓に途中までキーワードを入れただけで残りを補完してくれること、これらは非常に便利な機能です。しかし裏を返すと、便利さと引換に個人情報やプライバシー情報を提供していることになります。FACEBOOKにおいても、自分の個人情報やプライバシーを表に出すことにより、他人の個人情報やプライバシーを知ることが出来るという面があり、今後さらに議論されることでしょう。
そしてホームページで誰でもすぐに情報を発信できる時代、従業員が軽い気持ちで書いた文面に責任が持てますか? 大手企業であれば、法務担当者や顧問弁護士がいると思います。しかし中小企業ではそうはいきません。何か起きる前に、一度弁護士や司法書士など法律の専門家のリーガルチェックを受けてみてはいかがでしょうか。